この講義ではオープンエデュケーションの特徴 について解説します その中でも オープン教材を公開するウェブサイト について事例を紹介します この講義の学習目標は 以下の2つです 1つ目が オープンエデュケーションの特徴のうち オープン教材を配布するウェブサイトの特徴について説明 できる ということ もう1つが オープン教材を配布するウェブサイトの事例の名称と特徴 について説明できる ということです オープンエデュケーションの活動の 2つ目の特徴は オープン教材を取得できるウェブサイトを作る ということです 例えば 先ほど説明した オープン教材OERのようなものが インターネットにたくさんあるとします その時に問題になるのが いかにその教材を見つけ出すかということです 自分のレベルですとか学年、もしくはその既有知識に 合わせた教材を自分で探すということはなかなか難しい わけですね それに対してこちらの図にありますとおり 様々な教材が レベルもしくは内容もしくは学年などによって きちんと分けられていると いうふうにしますと 自分の目的にあった教材が探しやすいという ということなんですね つまりこのように オープン教材を 検索できる それが内容によって統合されている もしくはレベルによって分類されているというような そのような仕組みを提供するウェブサイトを作るということが このオープンエデュケーションの活動の特徴の2つ目だと いうことになります このようなオープン教材を公開するウェブサイトの1つ目の 事例が オープンコースウェアです オープンコースウェアは 正規講義のシラバスや教材 講義ビデオを無償公開する取り組みです ここでは大学の教材がシラバスやスケジュール と共に公開されるのですが これはあくまで大学にとっては出版行為 パブリケーションと位置づけられていて 単位の認定などはありません 現在このオープンコースウェアの活動は世界規模のものになって おりまして、例えばオープンウェアコンソーシアムという 世界規模のコンソーシアムができています また日本においても JOCWという日本の中でのコンソーシアムがありまして 数十校の大学が参加しながら ともにオープンコースウェアの教材を作り それぞれの大学のウェブサイトで公開すると いうことをしているわけです また最近では このオープンコースウェアの教材を 発展途上国向けに翻訳すると そういうことをすることによって 先進国から 優れた教材を発展途上国に輸出をすると その事によって 教育のレベルを共に上げていこうという 国際教育協力と 呼べるような活動が盛んになっているということも 特徴だと思います オープンコースウェアの活動を一番 最初に始めたのは アメリカのマサチューセッツ工科大学 です このウェブサイトMIT OCWと呼びますが この誕生の経緯としましては 教材販売のビジネスモデルというのもなかなか難しい という事がありました これは以前にも紹介した内容ですが FathomやAllLearnなど大学の教材を販売するという ビジネスモデルが うまくいかなかったという 反省に立っているわけです このような 経験を受けまして 大学の教材を無償で公開すると このような活動につながっていったといえます なお、MIT OCWの活動資金は 複数の寄付団体から支援を受けています 2009年までに3300万ドルもの 資金の支援がありまして MITも人件費など数百万ドルを 出していると いう状況です MIT OCWについては 利用調査も定期的に行われています 2010年の調査ですと MIT OCWのウェブサイトを訪問した訪問者は1億人以上いて しかもその7割は国外からだったということです またMITの中でも学生の 86% 教員の62%が MIT OCWを使っていると このようにですね。学外学内ともに このようなサービスが非常に盛んに使われているという ことが裏づけられています 次の例は、OpenLearnです OpenLearnはイギリスのオープン・ユニバーシティが 2006年に開設したもので ここではMIT OCWと同じように オープン・ユニバーシティが制作した オープン教材が公開されています OpenLearnには 3つの目的があるというふうに言われています 1つ目が 学習者を支援する学習ツールの提供 2つ目が 非公式で 協同的な学習コミュニティを支援する 3つ目が 国際的研究をもとに現代的な教育学の知見を広げることです OpenLearnの特徴としては MITのような教材公開にとどまらず 協同学習を促すようなサービスもあるということです これをLearningSpaceと呼んでいるんですが オンライン上に学習のスペース、場所が用意されていて そこで受講者が 自分のアカウントを作ってそこに入っていき 自学自習をすることができるわけですね そのときの学習履歴というのがLearningSpaceの中で 管理されていく また自分のわからないところについて電子掲示板を使う ということもできます またもうひとつ特徴的なのが 学習グループ ラーニングクラブというものを用意されていて 例えば数学に興味のある学習者 物理に興味がある学習者が集まって、そこでお互いに教え合う ようなコミュニティ機能も一部 持っていると いう特徴もあります 次の事例はOpen Yale Coursesです これは米国のイェール大学による 講義公開ウェブサイトです Open Yale Coursesは2006年に開設されまして この活動は寄付団体の支援を受けながら進められています 2012年までに 400万ドルの資金が提供されたということです Open Yale Coursesでは これまでに40を超える講義が公開されています Open Yale Coursesの特徴として 非常に質の高い教材が制作されていると いうことですね これは例えばすべての科目において 教材つまり資料などだけではなく 高画質の講義ビデオが提供されている またその講義の筆記録が用意されているという いうことも特徴です イェール大学は Open Yale Coursesの目的として 国際的な認知の向上がある というふうに言っています つまりこのような 質の高い講義をネット空間に提供することによって インターネット上における存在感を拡大するという ということです つまりOpen Yale Coursesの活動は ある種、大学のプロモーションを重視した オープン教材の公開 と言えるかと思います 次の事例が webcast.Berkeleyです webcast.Berkeleyは カリフォルニア大学バークレイ校による 講義公開ウェブサイトです webcast.Berkeleyでは、現在に至るまで 600以上の講義が公開されています webcast.Berkeleyの特徴は この活動を大学自前の資金で運営していると いうことですね また ビデオ講義をかなり大量に収録してるんですが この収録や配信を自動化しているというところも特徴 です キャンパスの中に数十にわたる 自動収録に対応した講義室を整備して 講師が ある授業を開講するというふうにシステム上登録すれば 自動的にその講義を収録するかどうかという問い合わせが 講師に向かって メールで出されるという仕組みになっています 講師が同意すれば その講義に ティーチングアシスタントや学生スタッフのような人間が 派遣されて 自動的な講義収録のシステムを使いながら その講義を収録するということです このようにある意味講義収録を 大量にシステマチックにすすめることで ビデオ講義の制作コストを大幅に下げるような工夫が されています またwebcast.Berkeleyは 主な利用者を学生として想定しています つまり 講義の復習で 講義ビデオを見る ような形で 学生が利用することで学びの質を高めるということが 狙われてるわけです webcast.Berkeleyも調査が行われていまして 90%の学生が このような取り組みが学習改善に役立つと いうふうに答えていると いうふうに言われています 次にご紹介する事例が Connexionsです Connexionsは ライス大学が中心となって開発した オープン教材を公開するウェブサイト これはMIT OCWよりも早い 1999年に開設されています Connexionsの特徴は 作られたオープン教材を モジュールとして制作管理しているということです 例えばこのような図がConnexionsのウェブサイトで提供されて いるんですが 教材の テキストやビデオなど様々なものをモジュールとしてシステム の中で 蓄積してそういうものを目的に応じて組み合わせていく と こういうものをレゴブロックモデルと呼んでいるんですが このようにすることで様々な教材、もしくはその中の素材を 再利用しやすいような仕組みを作っていると いうことです それに加えて 教材を評価するレンズシステムという仕組みもあります これは簡単に言いますと様々なユーザーが自分の 気にいった教材を お気に入り、つまりブックマークとしてまとめる ことができるサービスなんですが このようなブックマークのまとめ役として いくつかの大学やIEEEなどの国際機関が参加すると このことによって 大学が質が高いと認定する教材をまとめる ということもできるわけですね こういうふうな仕組みを入れることで 数ある多くの教材の中から 質の高い教材をピックアップして ユーザーに届きやすくすると、そのような工夫もされている わけです Connexionsには OpenStax Collegeという派生プロジェクトもあります これは先ほどご紹介したような Connexionsの中に蓄積された様々な 教材のモジュールを使い これを組み合わせて 大学向けの教科書を制作する取り組みです これを無償で大学に提供することで 大学における教科書代を下げる ひいては大学における教育のコストを下げるということが 目指されています