この講義では オープンエデュケーションの 活動の特徴のうち オープン教材を使った学習コミュニティについて 事例をもとに紹介したいと思います この講義の学習目標は 以下の2つです 1つ目がオープンエデュケーションの特徴のうち オープン教材を使った学習コミュニティの特徴について 説明ができること 2つ目は オープン教材を使った学習コミュニティの 事例の名称や 特徴について説明できることです オープンエデュケーションの活動の 3つ目の特徴としてあげられるのが オープン教材を用いた 学習コミュニティです ここまで、例えばオープン教材の開発 制作・公開ですとか そういうものきちんと分類統合して掲載するような オープンコースウェアなどのウェブサイトを紹介してきました つまりこういうウェブサイトがあれば さまざまな学習者がですね 自分のレベルにあった教材を探して 自学自習するということが、できるわけです ところがですね。なかなか一人で学習を 続けるというのは 結構難しいものなんですね こちらの図にもありますとおり 非常にそういう 様々な教材があって無料で学べるウェブサイトが あったとしても、1人で学習を続けるのに やる気が続かない、というところもあるわけです またもうひとつ問題となるのが わからないところを聞けないということなんですね 例えば オープンコースウェアでのサイトで教材が提供されていて ある部分についてどうしても質問がしたいというふうなっても 質問をするための何かの電子掲示板のようなものが 設けられているとは限りません そうなると わからないところについては、わからないままに過ぎ 去ってしまうということになるわけですね これに対して 共に学ぶ学習コミュニティのようなものが インターネット上にあれば そこでわからないところ学んだり 時には自分が教えてあげたり、というふうにして 共に学ぶという そういうことによって 学習の効果ですとか 意欲を高めることができるわけです これがオープンエデュケーションの特徴の3つ目 オープン教材を用いた 学習コミュニティだといえます オープン教材を使った学習コミュニティとして 代表的な事例が オープン・スタディです オープン・スタディは オンライン上の学習サイトで 数学や物理など 様々な科目ごとに設けられたページ上で 学習内容に対する 質問を投稿したり その回答も投稿することができると そのように さまざまな内容の学習について お互いに 教え合ったり学び合ったりすることができる 学習コミュニティになっています オープン・スタディの面白い特徴として 単純にお互いに質問を投稿できるというだけではなく 先ほどご紹介した オープンコースウエアを運営する大学と連携している ことがあげられます 具体的にはですね オープンコースウエアの教材を使って共に学ぼうと いうような学習グループが中に形成されていて その教材を共に使いながらその教材についての質問をし合う ということができるわけです こうすることで 例えばそれぞれの学習者が違う場所で 使っている異なる教材についての質問をし合うというよりも 同じ教材を使いながらお互いに質問することで より学習コミュニティの効果を上げることが できるわけです このような学習コミュニティを持ったサービスが いくつかありまして 例えばピア・ツー・ピア・ユニバーシティというものがありますが こういうものなどを代表にですね、様々な学習コミュニティが インターネット上に作られているという現状があります 次の事例が ウエスタン・ガバナーズ・ユニバーシティです これはオンライン大学の ひとつで 元々の起こりは 1995年にアメリカのいくつかの州知事らが設立した 非営利型の大学になっています この大学ではですね 様々な分野の学士号や修士号を取得することができます ウエスタン・ガバナーズ・ユニバーシティでは50以上のコースが提供されていて 全米から3万人を超える学生が 通っていると いわれています ここまでの説明ですと、いわゆる普通のオンライン大学なのね というふうに思われるかもしれませんが ひとつ面白い 特徴があります それはですね 特定の科目のみを履修して 学習の達成度に応じて 単位がもらえるということです つまり通常のオンライン大学ですと 例えば経済学の学士号を取るために そこにある程度通うみたいなことが想定されてるんですが 例えば経済学の中の 経済学基礎のような1つの科目だけを取って それについて単位をもらうということもできるわけ なんですね こういう仕組みを使うことで 例えば別のある大学に通っている学生が ウエスタン・ガバナーズ・ユニバーシティで足りない単位をもらって それを自分の大学に置き換えるということもできる そういう仕組みが導入されているわけです またその単位の取り方で非常に特徴的なのがこちらにも 書いております コンピテンシー・ベースド・アプローチというものですね 通常、大学で単位を取るときには 例えば15回の講義があって それに毎回出席をして最終試験を受ける。それによって 単位を修得するという形が一般的なんですが コンピテンシー・ベースド・アプローチでは そのようないわゆる学習時間 これを英語の概念で、Seating Timeと言ったりもしますが それにはこだわらないんですね 具体的にウェスタン・ガバナーズ・ユニバーシティで 何をしてるかと言いますと 例えば None 経済学の何か単位を取りたいときに いわゆる金融の分野ですとか、その専門で 働いている方が 単位を取るためにウェスタン・ガバナーズ・ユニバーシティに来たとします その時に ウェスタン・ガバナーズ・ユニバーシティの大学の方が、その方に対してインタビューを するんですね あなたがこれまでどういう風なことを学んできましたか どういう専門性を持ってますかってことを聞いていくと その結果、例えばその人が 経済学の基礎について ある程度のことを知っているという風にみなせた 時には 例えば経済学基礎については 15回の授業を本来受けるわけなんですけども、あなたは 最初の10回を受けなくていいですと 最後の5回と最終レポートだけ受けてくださいという風に 内容をカスタマイズすることができるんですね このことによって例えば働きながら大学に通う人に とっては 通常の大学よりも より手軽に大学の単位を取ることができるわけです このような工夫があることで 大学の単位ですとか、ひいては学位をより取りやすい ような仕組みが導入されていると いうことが ひとつウェスタン・ガバナーズ・ユニバーシティの面白い特徴かなと思います また、この大学に通うときに 学費を下げるということも目標の中の1つに入って いまして この時に ウェスタン・ガバナーズ・ユニバーシティで提供する教材に OERを使うと このことによって学費を下げると いうふうな工夫もされている 実際これはウェスタン・ガバナーズ・ユニバーシティの担当者の方の話を聞いた ときの ことですが 提供されている教材の半分ぐらいは 既存のOERを再利用して作っていると こういうふうなことで より価格を下げながら質の高い教材を提供すると いうふうな工夫がされている ということです 次の事例として挙げたいのが ユニバーシティ・オブ・ザ・ピープルです これは 無償で大学の学位を提供するという大学で 2009年に教育起業家のシャイ・レシェフさんという方が 設立した大学です ユニバーシティ・オブ・ザ・ピープルには 140カ国から学生が通っていて 学費は基本的に無料と言われています 数10ドル程度の 自分の 登録や試験に必要な費用以外は 基本的に無料だと また特徴的なのが その生徒が 例えば 一部の発展途上国など経済的に恵まれない地域に 住んでいると という場合には そのような学費についても減額するということで さまざまな方が通いやすいような工夫がされています 実はこのユニバーシティ・オブ・ザ・ピープルは元々こういう大学 として提案されたんですけども 当初、大学認証を持っていなかったんですね これは 特に海外の大学においては大学がある学位を出すときに 認証機関による大学認証を受ける必要があります こういうものをアクレディテーションと 呼ぶこともありますが ユニバーシティ・オブ・ザ・ピープルは当初これがなかったので ある意味なかなか大学として継続するのは難しい のではないかというふうな意見もありました ですが最近ユニバーシティ・オブ・ザ・ピープルは大学認証を取得しまして 学位を出すこともできると 言うことで こういう活動がどれぐらい持続性を持つかということは なかなか難しいところなんですが 非常に特徴的な大学として いま活動を続けているということです。 None