この講義ではオープンエデュケーションの活動の 特徴のうち オープン教材を使った学習コミュニティについて 事例をもとに紹介したいと思います この講義の学習目標は以下の2つです 1つはオープンエデュケーションの特徴のうち オープン教材を使った 学習コミュニティの特徴について 説明できること もう1つは オープン教材を使った学習コミュニティの 事例の名称と特徴について説明できることです ここでご紹介するのは オープンバッジという取り組みです これはデジタルバッチ と呼ばれる認定証を交付する仕組みです 事例の1つが Mozilla Open Badgeです これは皆様の中にもお使いの方がいらっしゃるかと思いますが ウェブブラウザのFirefoxですとかメールソフトの Thunderbirdなどですね。こういうふうなものを提供している モジラ財団が 提供するものです モジラ財団がオープンバッジで提供しているのは バッジを交付する仕組みなんですね。つまりこの仕組みを 使えば 誰でもこういうバッジを制作してそれを提供することが できるということです このバッジがどういう意味を持つかということについて 考えてみましょう これは 先ほどご紹介したオープン・スタディなどを想像すると いいかと思うんですね 例えば オープン・スタディの上で 経済学について基礎的なことを 教材を使って学習グループの中で学んだとします そこで学んだものはもちろん その個人のみに 付いているわけなんですけども その学んだこと自体を何か社会的に示すということは 難しいわけですよね この時に 例えばオープンバッジを提供する仕組み というのをですね 先ほどのオープンスタディが提供すると そうすることで 例えばオープンスタディの上で 経済学の基礎を学んだ人が オープンバッジ それのオープンバッジの中身が 例えばこの人は経済学の基礎をこういう風に学びました ということを証明するもので あるとするならば その人の 学びについて、その人が得た知識や技能についての ある種のシグナルを示すことができるわけです もうひとつこのようなオープンバッジの興味深い点は 学習経験を示すことができるんですね 例えば そのバッジをクリックすると、その人がオープンスタディのこういう学習 コースでこういう人たちと、こういう風な時間をかけて こういうことを学びましたと いうような 学習の履歴を表示することができるというふうな 仕組みもあります こういうものを大学ですとか、様々な非営利組織が 採用していると これがこの1〜2年急速に進んでいます 例えばスミソニアン財団は 財団でインターンを受け入れる際に このオープンバッジのいくつかを取ることを 義務づけているというふうな事例もあるんですね このようなデジタルバッチには いくつかの効果があります 1つが学習履歴の可視化です これはカリフォルニア大学のデービス校の例で ご紹介したいと思うのですが ここに持続的な農業と食料システムを学ぶ 専攻というのができました ここで学内もしくは農業だけにですね 学外で様々なフィールドワークを行うわけですが その活動のポートフォリオを作るということが 求められています このポートフォリオ中に 自分が身につけた能力をバッジとして残していくという 仕組みを入れているんですね 例えばそのバッジをクリックすると その方がこういうところで、こういう風な経験を積んで この能力を身につけましたというような 学習履歴についての情報も示されるわけです こうすることによって 例えばこのデービス校で取ったある専攻に 基づいた学位について この人が単純に学位を取ったということだけではなく そのポートフォリオで、その中に埋めこまれた バッジを見ることで その人がした具体的な経験ですとか、実際の能力を示すものを きちんと把握することができる。こういうことが その本人にとってだけでなく、そういう風な学生を 雇用しようとする企業側にとってもメリットがある ということなんです もう一つの特徴は 学習意欲の向上です これも米国の例ですが ニューヨーク州のトランスファー・スクールという 高校をドロップアウトしてしまった生徒が通う学校を 事例として取り上げて説明したいと思います ここではですね デジタルリテラシーをオンラインで学ぶコースを用意 していますが、そこで学び終えた生徒に対して デジタルバッジを提供しています 現在に至るまで2000名を超える学生が これを受講していて かつ、調査によれば バッジを授与することが学生の積極的な参加ですとか粘り 強さを高めるとそういう風な効果があったという風な 結果が出ています つまりこのようなバッジを与えるということが その人の学習履歴を示すということだけではなくて バッジを取るという明確な目標があることで学習意欲が向上 されると という風な効果も期待できる ということです というわけで今週はここまで オープンエデュケーションに関する基礎的な内容を 一緒に事例をもとに見てきました オープンエデュケーションとはそのものの誕生の経緯ですとか 定義の問題 またオープンエデュケーションの特徴をですね オープン教材の制作公開 例えば、OER オープン教材の話 またオープン教材を公開するウェブサイト 例えば、OCW オープンコースウエアですとか iTunes U、Khan Academyなど また加えて、そういうものを使った学習コミュニティ OpenStudy、Western Governors University、 Open Badgeなどそういうものを事例をもとに 見てきました 現在このような様々なオープンエデュケーションに関わる活動というのは 世界中に拡がっているという現状について理解し それについて説明できるようになったかと思います