この講義ではMOOCと大学教育の融合というテーマで お話をしたいと思います つまり、ここまでのMOOCの事例や特徴について 紹介をしてきましたが これが単純にオンラインの学習コミュニティに留まらず 実際、今ある大学教育とつながりを持ち始めているっていう ところなんですね それについて事例を基に紹介をしたいと思います ここでの学習目標は こちらの2つです 1つはMOOCを大学教育に活用する事例について 説明できること また、もう1つは MOOCを教育だけではなくて 大学の広報のようなものに繋げていこうとする 事例もあります これについても説明できようになる ということが 2つ目の目標です 現在MOOCはですね いろいろな形で大学教育に導入されるようになってきました 1つは MOOCを授業の教材として使うということです MOOCというのは先程の講義でもお話をしました通り 講義のビデオやクイズ、配布資料などが 包括的にまとまっているものですので ある種教科書として使うこともできるわけですね つまり、MOOCを 話す教科書というふうに考えて MOOCを使って授業する もしくは MOOCを使った 反転授業と言われるような 予習でオンライン講座で学んでおき、教室に来た時は その知識を使った 何か知識確認のテストですとか それを使ったグループ学習をするという そういうものの教材に使う まあいわゆるこれはブレンド型学習 オンラインの学びと オフラインの学びをブレンドさせるっていうことを 指すのですが このような学習の1つの道具として 使うということもあるんですね こういう事をする取り組みが 学習効果の向上に繋がるというふうな結果も 出始めています 例えば これはアメリカのサンノゼ州立大学の事例ですけども 電子回路を学ぶ講義にこれまでは 通常の教科書を使っていたものを MOOCを取り入れて 反転授業をやったという このことによって学生の修了率が非常に上がったと まあそういう風な成果も出ています その他の大学教育にMOOCを導入した事例として MOOCを使ったオンライン大学院というのがあります これはアメリカのジョージア工科大学が コンピューターサイエンスを学ぶことができる 修士号の専攻を 作ったんですけども ここでは Udacity という先ほどの講義でもご紹介しました MOOCプロバイダを使って 学習をすると こういうふうな大学になってるんですね このことで講義の部分をオンラインで済ますことができますから 非常に安い値段 この事例ですと7000ドルで コンピュータサイエンスの修士号が取れるという ことになっています なぜこのような 安価な修士号プログラムができたかといいますと ジョージア工科大学はですね この専攻を作る時に 8人の教員を追加するだけで 1万人の受講者を集めるという事ができるというふうに 考えたわけですね つまりMOOCのようなオンライン教育を上手に使うことで 多数の受講者に対して できるだけ安いコストで教育を提供する こういうことが可能になるという そういうことをふまえて Udacityと連携をして 新しいこういう修士号を取るプログラムを 作ったということです 次の事例として 大学単位を取得できるMOOC 修了証というのもあります これは先ほどMOOCは大学の単位ではない でも、例外があるという話の 内容なんですが Courseraは Signature Track という修了書を出しています これは 受講者の本人認証した上で きちんと本人が 取ったという事を 証明できるような形で発行する認定証のことです このためにCourseraは Webカメラで写真付きの 身分証明書を 取ってもらうですとか 試験を受けるときにパソコンのキーボードを使いますが このキーボードの打ち方をパターン認識を読み取ることで いわゆるテストを受けた人間のなりすましを 防止するというような仕組みを入れているんですね こういう仕組みを上手に使うことで 本人認証の上で 修了書を発行するというふうな 仕組みを取り入れています 実はこのSignature Trackというのが大学単位に 置き換える事ができるんです と言いますのも このMOOCができる以前から アメリカにはですねACE Credit というものがありました これは大学の中での学びだけではなく 社会の中の様々な経験を 大学の単位と置き換えて 大学に対して単位を推薦するという サービスがあるんですね この単位のことをACE Creditといいますが Signature Trackを取ることでこのACE Creditが 取得できるんです 今、全米には大学が4000超あるといわれてますけど その中の2000くらいの大学の単位に このSignature Trackを使って ACE Creditを単位に置き換える事ができる というふうな事になっていますね つまり、例えば私がどこかの大学に通っていてある単位を 落としてしまったと、その単位が取れないと 留年するという事があったとします その時にあきらめて留年をするのではなくて このCourseraで 自分が落としてしまった単位に該当するような 講座を取ると それで取った修了証をACE Creditに換えてもらって 大学に持っていくと つまり私はこの単位を落としてしまったんですけども Courseraで取りましたと それでこのACE Creditがありますから この単位を下さいというふうに ある意味お願いすることができるんですね もちろんこのACE Creditというのは 単位推薦サービスなので それで100%例えばこの全米2000の大学の単位に 置き換えられるというわけではないんですが、少なくとも そういう仕組みがあることで 私がもしそれを使った場合には一年留年しなくて 済むわけですよね つまりそういうふうにある意味で学習者を救済する 仕組みにもなった という事なんです またこのような大学 教育だけでなくて 大学のある種の広報に MOOCを使おうという動きもあります その1つの例がこのハーバード大学がやっている HarvardX for Alumni というものです HarvardXは 先程の授業でもご紹介しました MOOCコンソーシアム、edXの中で ハーバード大学が運営している MOOCのコースの名前です HarvardXはその中で Explorations in Learningというテーマで 卒業生に向けて 神経科学や歴史などの多様な教養科目を提供する ということを始めます これによって、つまり大学を卒業した卒業生が 自分たちのMOOCを見て、最近はハーバード大学は こういうことを教えているんだねと ということを知ることができるわけです つまり MOOCを使って世界中に散らばった卒業生に対して 大学教育の今を伝える手段として MOOCを使うという事なんですね 別にその HarvardXを受ける卒業生は 既にハーバード大学を卒業していますので これをもって何かに修了証をもらおうみたいな事は ないわけなんですけども MOOCを 受けることで 大学教育に卒業後も触れることができると それがひいては 例えば寄付金を集めるですとか様々な大学の広報の 手段につながるというふうに考えられているわけです また大学生向けだけではないMOOCもあります 高校生向けMOOCというのがありまして これはMOOCコンソーシアムの edXに参加している ダビットソンカレッジというところが 開設している コースなんですね ここは高校生向けの大学教育プログラムというのを 提供しています。これもですねMOOC以前から あったものですがAPテスト(Advanced Placement)という ものがあります。これは何かと言いますと 高校生向けに大学単位を先行して取ることができるという ふうなプログラマなんですね つまり、ある高校生が 大学に入学する前にこのAPテストを受けて 例えば物理学の基礎の テストに合格したとなれば その学生が大学に入学したときに その授業を受けなくても単位をもらえると そういうふうな仕組みになっています 現在このAP試験を提供している組織College Board というのがあるんですが こことダビットソンカレッジが連携しまして高校で このMOOCを使ったブレンド型学習を実施しています つまり高校にいながら より大学の内容を先んじて学びたいという ある種レベルの高いやる気のある生徒にとって 非常にこれは魅力的な コースになるわけですね こういうふうなMOOCも提供されていると いう事があります このような取り組みがさらに広がったものが 今からご紹介するこのSJSU Plusです これはサンノゼ州立大学による オンライン講座で これはその大学の学生のみならず コミュニティカレッジの学生ですとか社会人ですとか 高校生向けにMOOCを開いてます このMOOCを受講して修了証をもらえると これは大学単位を取得する権利に変わるんですね つまり高校生や社会人 これからサンノゼ州立大学に入ろうとする学生が SJSU Plusで 修了証を取ることで 大学の単位を将来的に取得できる もしくは自校の学生は 自分の普通のオフラインの授業に成り代わって SJSU Plusの講義を受けることで 単位を取ることができます サンノゼ州立大学はUdacityと連携を しまして このSJSU Plusというサービスを提供しています