この講義では オープンエデュケーションと未来の学び というテーマで解説をします この講義の学習目標はこちらです オープンエデュケーションの活動が社会に及ぼす 影響について説明できる、です 先ほどの講義ではオープンエデュケーションの活動が これからの大学にどういうふうな影響を及ぼすか どういう効果があるか どう活かせるのかということについて解説をしましたが ここではより視野を広げて すべての方が 学び手にもなり教え手になるであろう社会の中で オープンエデュケーションがどういう意味を持ち得るのか ということについて 私なりのモデルを提示して解説をしたいと思います これからの社会においては 変化が激しい社会の中で これに適応できる人材の必要性が 高まっているのではないでしょうか つまり なかなか未来のことを予期しえない こういうものに対応できる人材を 育てる教育が求められている しかも 人が身に付けておくべき専門性が時と共に変わりやすいと その中で 生涯学び続ける社会になっていく こうなると なかなかこのような多様な学びを 学校や大学では カバーしきれないのではないかと 考えるわけです このときにオープンな学習環境 つまりオープンエデュケーションの重要性が増すと 私の思うに オンライン教育やMOOCというのは 今世紀の学習を支える 社会インフラとなりうると考えています これまでの教育制度は 社会の中で何が求められていたのでしょうか 私はこれまでの教育制度は 社会の中に人材を送り出すために ある意味、経る、通過するものだったと考えています その中では教育機関で 社会に出るための準備を済ませるということが 想定されていた こちらの図にあるように 大学を卒業した後には 企業を変わりながら、かもしれませんが 直線的なキャリアを描くということが前提だったわけです これを 少しずつ変えてきたのがeラーニングではないでしょうか つまり これまで働きながら大学に通うことが難しかった人に対して オンラインの学習環境を使って働きながら学ぶと そのような機会を与えてきた というのがeラーニングの社会の中での 役割だったかと思います この中でオープンエデュケーションというのは 私はより広がりを持った学びの機会を与える 手法だと考えているわけです 先に解説しましたとおり これからの社会の中では 様々な専門性をその時に応じて身に付けながら ある種、複線的なキャリアを描く 学び直すことが前提となると こういう中で教育制度では抱えきれない 外側を上手に支えていく ある種のセーフティネットとしての オープンエデュケーションが大事なのではないでしょうか このような考え方は こちらのような図で説明できるかと思います つまり もちろん人によっては高等教育を経て 社会に出て行って、ある種直線的なキャリアを 描くわけですけれども 例えば大学の中で何か経済的な事情 本人の様々な事情で単位が 取れなかったという人に対しては 例えばウェスタン・ガバナース・ユニバーシティのような 単位を補完的に取得できるような大学を使って 大学の単位を補充する Courseraのようなシグネチャ・トラックを使って 足りない単位を補う もしくは 自分が身に付けたい専門性を ある種、ダブルスクールのような形で補うと そのように 大学に通いながらMOOCを使うことで 自分の求めるべき専門性を身に付けるということです これは社会に出た後も変わりません 例えば 自らが仕事の中で新しく身に付けるべき専門性というのを オープン教材によって学んだり MOOCによって学ぶ そういうものを 例えば学習機会を得たとすれば そこで認定証を得ることで自分がその新しい 専門性を身に付けたということを 社会に対して示していくということも可能なわけです この中にいくつかのキャリアパスのモデルが 描いてありますが この一番下のモデルがある意味最も極端なものです つまり実はこの教育制度の中を経なくても 自分が学ぶべき内容というものを オープンエデュケーションが提供する オープン教材・MOOCによって 自ら主体的に組み立てていくということも 理論的には可能なわけです このように多様な学びの機会 もしくは教育制度に通うことが もしくはそれを使うことが難しいという場合に そこを拾い上げる、そこを補完する手段として オープンエデュケーションの中に用意された 多様な教材や学習機会が活かされていくというわけです 私の考えではこのときに重要となるのが 教育制度の繋がりだと思います つまり例えばある方が転職をする その際に新しい専門性を身に付けたいときに MOOCを使うとします とは言っても 例えばMOOCの入り口にあたるところ つまり単位互換制度や修了証が 社会的に承認されている もしくは出口の部分 社会の多様なニーズに応じた 学習環境を用意されていると この2つが無いことには 教育制度の外もしくは社会の中で オープンエデュケーションのさまざまな教育化を使おう ということにはなかなかならないわけです これはデジタルバッチがどれくらい浸透するか もしくはオープンエデュケーションの教育界が どれほど多様に提供されるかに かかっているわけですけれども このようなある種 制度との出口と入口をきちんと繋いでいくことが 非常に重要なのではないかと考えています 今週のまとめです 今週はここまで解説をしてきました オープンエデュケーションの様々な活動や その背景を一度振り返りながら デジタル化やオープン化が教育に与える インパクトについてより深く考えてきました また、既存の教育を破壊するのではないかと思われる MOOCの可能性と課題について 教育の破壊的イノベーションの見地から検討しました またこれまで 触れてきたようなオープンエデュケーションの様々な活動 学習機会がどのような学びをもたらすのか そのようなものが 未来の例えば大学、例えば社会全体を どう変えていくのかということについて 私なりのモデルを定義してみました このようなモデルがどれぐらい皆さんの状況 もしくはこれからの社会に当てはまるかというのは まだわかりません ですけれども ぜひ皆さんがそれぞれの自分のキャリア もしくは自分の人生を築いていく上で このような開かれた教育環境が どのように活かされていけるのか もしくは役立つのかということについて 皆さんのそれぞれの立場から ぜひ考えていただきたいと思います