子供にゲームを作ってもらうワークショップで、小学校低学年に大学生のメンターがマンツーマンで付く形式で行われていた。Scratchは初めてという子供たちに対して、Scratchの使い方を教えるのではなく、子供たちがScratchでやりたいと思うことを聞き出して、メンターが形にしていくという形式で進んでいた。

子供の中にあるものを、子供がoutput(作りたいものを伝える)するのをガイドしてあげて、output(作りたいものを形にする)の仕方を見せてあげる。そうすることに注力しているように見えた。それによって、子供は、Scratchを学ぶ前に、子供の中にScratchを位置付ける(自分の作りたいゲームが実現できる道具、など)ことができ、Scratchに取り組むキッカケを得ていたように思う。

構成主義に主眼を置いた指導方法を実際に観察できたと思う。最初のとっかかりの体験を構成主義的にマンツーマンで丁寧に扱うのは非常に優れていると感じた。同時に、子供とメンターの距離感に重要な要素があるのではないかと感じた。実の親子で、これを行うのは、難しいと感じた。少なくとも、うちの息子は、親より、他所の大人の言うことの方を、素直に聞く傾向がある。子供とメンターの間に、事前の余計な関係がない方が、メンターはスキルを発揮しやすいのではないだろうか。ただ、自分は、このメンターほど丁寧には扱えていないので、スキルに帰着されるのかも知れないが...

うちの息子は、自分の作ったものを他人に見て欲しがったり、通信機能などを欲しがる傾向が強い。普段の生活でも、自分の考えを筋道立てて話そうとしてくれるのだが、物理的な事象の解釈など、息子の持つ概念モデルに誤りがある場合も多い。今回は1回だけの短時間のワークショップであり観察できなかったが、子供たち同士のコラボレーションが、概念モデルの修正や、合意形成に機能する場合、メンターはどのように振る舞えるのか、興味がある。